新しいピックアップ配線の提案 (13通り⇒35通り)                   BRIAN MAY Red Special Pick Up "New Wiring Diagram"   

 レッドスペシャルのピックアップ・ワイアリングは1964年当時としては画期的であったのは間違いない。

3つのPUをシリーズ配線で、フェイズ・イン、フェイズ・アウトの全組み合わせを出すことができる。

 

しかし、設計当時10代だったブライアンは一般的な「パラレル接続」を知らなかったという。 

短絡的な例えで恐縮であるが、乾電池3個と豆電球を渡されたら、わざわざ並列に繋ぐ人も少ないであろう。

ジェフ・ベックがストラトのPUの「リア+センター」をミニスイッチでシリーズ接続したのはもっと後になってからだ。

 

結果的に、ストラトのハーフトーンを出せず、ヌケが悪くこもった音である事が、自作のトレブルブースターを必要とし、その後のブライアン・メイ・サウンドを特徴付ける結果につながったと見ることができる。

ところが我々にとっては、トレブルブースターがなければ使い道の少ない極めて不便なギターである。

 

せっかくレッドスペシャル誕生から50年が経過しようかという時代にコピーを製作するのなら、

6個のスイッチだけで、レッドスペシャルの全パターンに加えて、パラレル接続(ハーフトーン)の全パターンも出せるようにしたい。

 

そこで、私なりにオリジナルの配線を考えてみた。下図が実体配線図を意識して書いてみたものである。 
ブライアンの13通りを全て出せながら、パラレルやフェイズアウトの全パターンとの組み合わせが可能となるようにしたため、これまでになかった配線パターンとなった。 

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レッドスペシャルの配線とは全く異なります。

回路図の知識がある方なら、何をしたいかがおわかりかと思います。

レッドスペシャルモデルのみならず、この配線をストラトに組み込めば、ブライアン・メイ、エリック・クラプトン、ジェフ・ベックらに近いサウンドを1台で出すことができる強烈な武器になると思います。

 

図中の上側の3つのON-ON-ONスイッチだけで、レッドスペシャルの全ての組み合わせが出せます。

6P ON-ON-ONスイッチの接点がわかる方なら、スイッチを中間ポジションにすると、そのピックアップに流れていた電流がバイパスされるため、OFFの状態になるのがおわかりかと思います。

違うピックアップ間でスイッチを同じ方向にするとフェイズ・インに、反対側にすることでフェイズ・アウトとなります。

 

この配線のポイントは図中の下側にある3つのON-ONスイッチです。

これは各ピックアップのシリーズ/パラレルの切替えスイッチです。

これによりレッドスペシャルでは出せないストラトのハーフトーンは勿論のこと、3個のピックアップのミックスで
「2個をシリーズ接続 +1個をパラレルでミックス接続」  

という組み合わせができるため、レッドスペシャルの欠点である「高音が引っ込んだこもった音」を改善することができます。  これにフェイズ・アウトを組み合わせると、いくつかでかなり効果的な音となります。

 

原理としては、あるピックアップのスイッチをシリーズ側にすると隣接したピックアップと直列となり、パラレル側にするとそのピックアップだけがタップされ、同時に隣接したピックアップは直列を維持するようにバイパスされます。 

 

 

実は、このシリーズ/パラレル切替スイッチは、センター含めた2個あればかなりの役目を果たすことができるのです。 しかし、これだと

①「2個のPUのシリーズ+1個のPUのパラレル」というパターンで出せない組み合わせがあること。

②スイッチを3個にするとによって、各PUの役割分担がスイッチではっきりするため、頭で考えなくても感覚的に操作することができるので便利。

 

という2つの理由から、このスイッチを3個にしておくメリットはあります。 そもそもルックス上スイッチが6個ないとサマになりませんが、ストラトなどでどうしても2個にしたい場合は、フロントのスイッチを無くせば良いと思います。

理由は「センター+フロントのシリーズ接続にリアのパラレルミックス」というのはかなり使える音だからです。

 

 

ちなみに、ON-ON-ONや9PのON-ONといった特殊回路のスライドスイッチは市販されていないと思います。

私はミニスイッチに白いキャップをつけて雰囲気を出しました。スライドスイッチよりも操作性は抜群で、一度このスイッチで慣れてしまうと、ノーマルの6つのスライドスイッチの操作が面倒に感じてしまいます。

 

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このようスイッチ類の外観上はレッドスペシャルと比較して違和感はありません。 特にBM900なら外観上は全く変更なく改造できます

 

レッドスペシャルにはできない最大のメリットは5点あります。

 

①ストラトのハーフトーンの組み合わせが全て出せます。

 

②2個のPUのシリーズミックスに、リアかセンターの1個をパラレルミックスさせることにより、太くてパワーがある音はそのままに、音にメリハリが加わり、レッドスペシャルのこもった音の欠点が改善されます。 トレブルブースターが無くても通常のファズ系のエフェクターできれいに歪みます。

 

③フェイズアウト音は、シリーズ配線よりもパラレル配線のほうが、格段にトレブリーで効果的な音になります。 ハイポジションで歪ませるとオクターブ効果がさらに強まります。

 

④ピックアップ2個と1個をシリーズとパラレルミックスし、さらにフェイズアウトを混ぜると、いくつかの組みわせでモジュレーションのかかったような、ワウペダルの半止めのような効果的な音となります。

 

⑤この6つのミニスイッチは、頭の中のイメージを体感的にすぐに試してみるためには、操作性が抜群です。レッドスペシャルのバリエーションは3つのスイッチだけでできるので、時間的には半分以下で瞬間的に操作できます。 (「半分以下」の根拠は、レッドスペシャルの6つのスイッチが3つになり、さらにミニスイッチなので、3本指で同時に操作可能)

 

 

今回、STAR'Sの大改造モデル「STARFLEETスペシャル」にて、この配線を試してみました。

レッドスペシャルでは出せないバリエーションのうち、特徴的なものだけご紹介します。

 

【接続A】

3つのピックアップ  : + + + (全てフェイズ・イン)

シリーズ/パラレル  : P S S  (リアのパラレル+センター・フロントのシリーズ)

 

【効果】

レッドスペシャル特有の太くてパワーがありこもったような音に、リアPUのトレブリーな音がミックスされる。

2人が違うギターで重ねて弾いているようにも聞こえる。

トレブルブースターが不要で、普通のファズやオーバドライブでもきれいに歪む。 

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【接続A】のスイッチポジション

 

 

【接続B】

3つのピックアップ  : +  off  - (リアとフロントのフェイズ・アウト)

シリーズ/パラレル  : パラレル・ミックス (2個のPUの場合、片方をパラレルにするだけでパラレル・ミックスになる)

 

【効果】

要するに2つのピックアップのパラレルでのフェイズ・アウト。

レッドスペシャルのシリーズでのフェイズアウトよりもっとトレブリーで、強く歪ませると強烈なオクターブ効果が得られる。より強烈なボヘミアン・ラプソディが可能?かも 

【接続B】のスイッチポジション
【接続B】のスイッチポジション

 

 

【接続C】

3つのピックアップ  : + + - 

シリーズ/パラレル  : S P S  (リア+フロントのシリーズのフェイズ・アウトに、センターをパラレルでミックス)

 

【効果】

繊細なフェイズアウトの音にモジュレーションがかかったような、ワウペダルの半止めのような効果が得られる。 「WHITE QUEEN」などにフェイザー無しでもイケそうです。

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【接続C】のスイッチポジション

 

 

【接続D】

3つのピックアップ  : + + + (全てフェイズ・イン) 

シリーズ/パラレル  : S P S  (リア+フロントのシリーズに、センターをパラレルでミックス)

 

【効果】

接続Aをもう少しまろやかに、角を取った感じの音。パワーと音のツブは失われていない。

アンプのゲインだけできれいに歪むので、個人的には一番使っている組み合わせです。 

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【接続D】のスイッチポジション

 

 

どうですか? ちょっと複雑かもしれませんが、ご理解いただけたでしょうか?(説明が下手ですみません) 

ところでこの配線には2点だけ注意点があります。

 

①シリーズ/パラレルスイッチを3つともパラレルにすると、3つのピックアップ全てがバイパスされて音が消えます。

 

これは特に問題ないでしょう。 2つのピックアップパラレルにしたい場合は、どちらか1つを切り替えれば良いですし、3つ全てをパラレル接続したい場合は、任意の2つを切り替えれば良いのです。

 

②OFFの状態にしているピックアップをパラレルに切り替えると、全部の音が消えます。

 

このような状況にすることはまずありませんが、よくわからずにパチパチいじくっているとこうなることがあります。ただ、これを知っておくと、ボリューム設定やピックアップ設定はそのままに、ミニスイッチのワンクリックの操作で音が切れるため、曲間などに便利です。

 

①②を改善する配線も考え付きましたが、9Pスイッチが増え、配線も煩雑になるため、このままのほうが良いでしょう。 要するに、3つともシリーズのポジションを「リセット状態」としておけば、迷うこともありません。

 

 

 

上に挙げた例はほんの一部で、まだまだレッドスペシャルには出せないたくさんの音作りが可能です。

ただ、トーンバリエーションの数を競う目的で考えたわけではないので、個人的には上記の4つ~6つ程度が「つかえる音」ではないかと思います。

設計した私ですら何通りの音が出せるか数えたことがありません(ただ面倒なだけですが)。

 

ちなみにこの配線図と説明を英訳して、ブライアン・メイにもオフィシャルサイトを通じてメールしてみました。

レプリカに組み込んでもらえればこの上ない光栄ですが、まあ無理でしょうねぇ・・・

 

追記:この後、2010年12月6日にクイーン・プロダクション所属のブライアンのguitar-techの Pete Malandrone氏から私宛てにメールが届きました。 「この配線はとてもよく思え、非常に興味があります。機会があれば是非試してみたいです。もしもテストしてみたらまたその感想を連絡します」・・・ というものでした。  

 

   

【お願い・ご注意】

上記の配線を個人的に試される方は、自己責任にてお願い致します。
一部、実体配線図にしていませんので、多少、電気回路の知識が必要となります。

正しく配線すれば成功するはずですが、「音が出ない」「ノイズが大きい」場合は、以下をご確認下さい。

 

・スイッチの端子が多いため、ハンダ付け不良がありませんか? ハンダの量を少し増やしてみて下さい。

・アーシング処理は適切ですか? ジャックやポットなどを通してホット側の線と干渉していませんか?

・狭いキャビティ内に配線を押し込めていませんか? 端子やハンダ部分の接触が悪くなり、音切れやノイズが起こります。 組み込む前に広いスペースで音出しチェックをしてみて下さい。 Burns(バーンズ)、Brian May Guitars、STAR'S(スターズ)、グレコ BM-900、ストラトタイプなどキャビティが狭いタイプは内部加工をすることをおすすめします。

・スイッチ類は適正な接点のタイプを購入されましたか? ここを間違えると、絶対に失敗します。

 

 

2010年12月11日

この配線の全組み合わせ図 (資料作成 蝦夷のブライアンさん)

 

この配線を実際に組み込んで、掲示板に投稿を下さった 蝦夷のブライアンさんが、この配線で出すことができる全組み合わせ(と思われる)パターンを下図のとおり作成して送ってくれました。

 

レッドスペシャル方式の6つのスライドスイッチだと13通りですが、いっきに35通りになるようです。

私の説明よりも、この図のほうが一目瞭然ですね・・・

スイッチ部を見なくとも、配線図のほうだけでフェイズ・イン/アウト、シリーズ、パラレルの状態が全てわかります。

【記号の解説】
PU  : 薄緑=シリーズ状態、 薄青=パラレル(2つのPUの場合、片方だけでパラレルミックス)、灰=OFF

配線: 平面=シリーズ、 立体(前後に2本)=パラレル、 クロス=フェイズ・アウト

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                    ⇒STAR'S大改造 製作過程の紹介