世界の面白レッドスペシャル コピーモデル・レプリカ集(全22社)    "Unofficial & Rare RedSpecial Models in the World"

(※1) レッドスペシャルのコピーモデルを紹介するにあたって、未公認モデルに関する法的・倫理的な解釈について避けて通れない。本ページの一番下にまとめたので、そちらをご覧頂ければ幸いである。

 

1976年にグレコがおそらく世界で初めて量産のコピーモデル「BM-900」を発売して以来、世界中であらゆる仕様のコピーモデルが販売され、その多くは消えていった。
今やブライアン本人のレッドスペシャルよりも完成度が高いレプリカすらある。

 

 レッドペシャルの内部構造がほぼ明らかにされている現在、ギター製作の経験がある人が設備と時間をたっぷり使えば、ほぼ似ているレプリカを作ることは可能である。

 

いくら正確にコピーしてもホンモノには成り得ないし、レッドスペシャルに似せることを究極とするのであれば、多くの欠点や非合理的な点も似せる必要があるワケで・・・ これはギターとしての完成度とは別問題である。

 

レッドスペシャルのポテンシャルを考えると、非公認ビルダーが販売しているレプリカがウン十万円もするのは、材料や性能そのものよりも手間賃と考えたほうが良いであろう。個人的には、緻密に完璧にコピーしたものよりも、ある程度の妥協や個性のあるモデルのほうに惹かれる。 


「情報が無い時代につくった」、「コストの制約上、やむを得ず構造を変えた」、「何らかの意図や事情があって仕様を変えた」などの理由によって、B級コピーモデルの烙印を押されてしまった廉価モデルや、ヘンな珍種コピーモデルを見るとその誕生の背景を想像してしまい、とても気になってしまう。

 

Guyton(ガイトン)のようなブライアン・メイ公認の質の高いレプリカ系から、GUILD(ギルド),Burns(バーンズ), Brian May Guitars など公認の量産コピーモデルなどは他でも語りつくされているので、ここでは普段光の当たることのないレプリカやユニークなコピー品を中心に紹介したい。 

 

 

 

【ITALY・イタリア編】 

 

■Legg Guitars

 

イタリアという国はクイーンの人気があったのは勿論ですが、レッドスペシャルのコピー天国とも言えます。

イタリアはブランドの国という印象が強いので、ちょっと意外な気もしますね。 

 

このLegg Guitarsというメーカーは、イタリアでは中堅のギター&ベースメーカーのようで、日本で言えばフェルナンデス的なオリジナルギターを得意としているようです。

このコピーモデルは、最も大変なナイフエッジのトレモロやローラーブリッジ、コントロールノブなどは正確に再現しているようですが、スライドスイッチやピックアップのマウント方法などいまひとつコピーしきれていないところが何ともたまりません。 現在は販売されていないようです。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Legg Guitars (Italy)

 

 

 

■Jim Reed

 

同じくイタリアの「Jim Reed」のもの。 ピックアップはケント・アームストロングのTri-Sonic を使っており、トレモロはブライアン・メイ同様のナイフエッジのものか、画像のフロイドローズが選べます。 ピックガードの形状など全く違っており、「本物に似せるのは簡単だがあえて独自性を出した」のか、「おおらかに適当に」といったイタリア人気質なのか? レッドスペシャルのコピーというより、Guild のレッドスペシャルモデルのコピーといった感じがなんとも魅力的です。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Jim Reed Red Special (Italy)

 

 

 

■Red Rome Guitars

 

おっと、これは完成度が高くてB級グルメファンにはちょっとつまらない(笑)。 細部までほぼ正確にコピーされています。 むしろ「レッド・ローマ・ギター」というブランド名が、何ともお洒落でかえって笑えます。

2003年に突如現れたギターだそうで、その後消息不明とのこと。 もしも持っている方がいたら、かなり珍しいプレミア物かもしれませんよ(相場は不明ですが)。

そういえば、1999年に突然消えてしまった日本のKID'S(キッズ)ギターのレプリカに似ていなくもありません。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Red Rome Guitars (Italy)

 

 

 

■CQUADRO Guitar Works

 

シチリア島の最東端にあるシラクーザという街にある CQUADRO Guitar Works  

海に面したこんな環境で、「何もレッドスペシャルを作らなくたっていいじゃん」と思わず言いたくなります。 ここはレッドスペシャルだけではなく、自社のオリジナルギターやベースの販売もしています。

 

ここのレプリカは、「Red Special Extreme」、「Red Special Basic」など3タイプがあります。Extremeのほうは本体にオークとホンジュラス・マホガニーを使いラッカー塗装。 ピックアップは定番のTri-sonic  Adeson(アデソン) ビンテージタイプ、ブリッジはオリジナルのローラーブリッジ、ペグはシャーラーのロッキング・ペグ、コントロールやノブ類もオリジナルでキャパシタには.022uFs のスプラグ・ビタミンQ ・・・ などと、イタリア編の中では一番の拘りようです。 Basic は材質がマホガニーのみ、ペグがゴトーと少しスペックダウンされています。

 

oreさんが同社に価格を質問したところ

・RS Basic 1800€
・Gold Special 2200€
・RS Extreme 3000€

 

2012年現在の記録的なユーロ安により、1€=約¥100としても、国産レプリカと比較して圧倒的に値頃感が高まっています。もちろん送料は考慮していませんが。なお、オリジナルパーツの販売は休止しているとのこと。

 

youtubeに製作過程がありましたのでアップしておきます。 しかし、ギターを弾いているのは素人でしょうか? あまり上手くないですねぇ・・・

 

「Red Special Extreme」 (CQUADRO Guitar Works オフィシャルサイトより引用)
「Red Special Extreme」 (CQUADRO Guitar Works オフィシャルサイトより引用)

 

 

 

 

■Francesco Distefano Guitars

 

どんどん出てきます。イタリアのレプリカメーカーが。

このFrancesco Distefano Guitars (フランチェスコ ディステファーノ?)は、社名やオフィシャルサイト内の単語などからどうやらイタリア語らしいということまでしかわかりません。 オフィシャルサイト内はどこをさがしても会社概要が記載されておらず、メールで質問するしかないようになっています。

 

色々なギターの製作をしているようですが、レッドスペシャルに関しては、「RedSpecial63」という型番で詳細が載っていました。

かなり最近つくられた後発組のレプリカのようで、マホガニーボディ&ネックにオークのインナーコア、60年代復刻のアデソンTri-Sonicのピックアップ、ペグはシャーラーのロッキングタイプ、ナイフエッジ・トレモロやアルミ製ローラーブリッジ、コントロール類もオリジナルと、定番はきっちりおさえていますね。 

しかしyoutubeのプロモーションで弾いている曲がProcessionとは何ともシブい! 私は好きです。

Francesco Distefano Guitars オフィシャルサイトより引用
Francesco Distefano Guitars オフィシャルサイトより引用

 

 

 

【KOREA・韓国編】

 

■Dillion Guitars  「DBM-10T」他

 

韓国のDillion Guitars というブランドです。 オフィシャルサイトを見た感じは、まるで70年代のグレコです! 

 

見た目はレッドがSTAR'S 、サンバーストはBURNS、下の画像はBrian May Guitars にそっくりで、どこのモデルも実はここが作っているのか?と思ってしまうほど酷似しています。レッドとサンバーストはピックガードの形状や面積が違っており、それぞれがSTAR'S と BURNS にそっくりです。 マホガニーのソリッド構造でセットネック。面白いことにスケールは648mmのレギュラースケール(ゼロフレットなし)。 Tri-Sonic を使用しており、ペグはグローバー、トレモロはDillion社のオリジナル。 バインディングはバックにも施され、フィンガーボードはエボニー。おいおい、国産のコピーモデルよりも豪華!? 恐るべし韓国製。

 

韓国で需要があるからつくられたのか、アメリカやイギリス市場向けなのか??よくわかりません。 ベースギターまであるのがお茶目です。 韓国旅行の際は気にしてみて下さい。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Dillion Guitars (Korea)
ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Dillion Guitars (Korea)

 

 

 

【USA・アメリカ編】

 

■Watson Guitars

 

2001年にアメリカに出現したオーダー品で、現在では新規で入手できません。

安いオーダー価格体系が好評だったようで、ピックアップはTri-Sonic かディマジオか、そしてブリッジはトレモロか画像のストップテールピースかを選ぶことができたようです。ユーザー評価も良かったそうです。

後述するRS Guitars より安かったそうなので、日本円ではおそらく20万円以下だったのでしょう。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Watson Guitars (USA)

 

 

 

■RS Guitars

 

RS Guitars もオーダー生産のみしている工房です。公認モデルではないものの、完成度が高く、公認のレプリカにもひけをとらない品質のようです。Tri-Sonc やナイフ・エッジのトレモロが付くのはもちろんですが、カラー、ブリッジのタイプに至るまで細かいオーダーに応えてくれます。

 

スタンダードな 「RS Classic」(画像)には、Adeson(アデソン)のビンテージ仕様のTri-Sonc のピックアップに、ロッキング・ローラー・ブリッジとレッドスペシャルのブリッジをミックスしたようなハイブリッドブリッジが付いて、ナント$2,749(ということは日本円で約20万円台後半)です。 レッドスペシャルタイプの自作や改造を志したことのある方はわかると思いますが、円高効果を差引いてもこれはとてもリーズナブルな価格です。

 

他のオーダーメイド品のように、目や耳でわからない細部までこだわって、積み上げ式にコストや労力を計算すれば50万円も100万円もかかるのは理解できますが、この工房はどのような工夫とコスト削減の努力をしているのでしょうか? おカネさえあれば、150万円するレプリカと一体何が違うのか検証してみたいですね。

私は個人的にこのモデルを真剣に欲しいと狙っています。

しかし、このギターを予約された五月さん情報によると、バックオーダーでいっぱいで、現在では予約すら受け付けてくれないとのことです。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
RS Guitars (USA)

--- RS Guitars オーナーの五月さんによるインプレッション---

(RS Guitarsでは既にオーダーを打ち切っており、五月さんが最後の1本を入手されました)

 

「最終作成の1本となった貴重なギターですが、こちらは実際に本物RSを弾いたSteveがオリジナルRSの問題点を捕え、Play面を考えて確実に楽器として進歩させています。ネック角がありテンションもあるため、弦鳴りが強く、チェンバーBodyであることも感じられ、サスティーンもかなり有ります(生音がかなり大きいです)。

 

Bodyと弦間のスペースも確保されてますので、かなり弾きやすく、極太ネックでも普通に弾けます。ネックのアールもオリジナルの7.25ではなく12で作成してもらったのも大きな要因で、チョーキングの詰まりも皆無です。また、ネックジョイントの形状も考えられていて、ハイ・ポジションも全く苦になりません。特にハイブリッド・ブリッジの出来は機能性、ルックスから特筆物です。ウィルキンソンは機能は◎ですが、ルックスが個人的にはNGです。

 

RS Guitarsは儲けを完全度外視して、PlayerであるSteveがあくまで個人の趣味で作成していたため、コストパフォーマンスが凄いです。完全レプリカでなく、演奏性を考えて進化・作製がされてます。通常で売ればやはり他社のように50万は軽く超えるくらいのクオエリティとサウンドを持ちます。もう1本緑のRSオーダーを予定してましたから、製作を止めてしまい、本当に本当に残念です。安かろう悪かろうではなく、ここまでコストパフォーマンスの高いギターは、もう2度と出てこないと思いますので」。

 

 

 

■RS Custom Guitars

 

こちらはレッドスペシャルをはじめとした情報満載のブログの管理人のマットさんからの情報で知りました。

 

上記のRS Guitars と紛らわしい名前ですが別物です。 RS Custom Guitars はRS Guitarsをさらにグレードアップしたような仕上がりで、オフィシャルサイトの詳細画像を見る限りではかなり細部まで忠実に再現しているようです。「64 Supreme」($6,500)、「64 Special」($4,500)、「64 Standard」($3,799)と3つのモデルがあり、チェンバー構造、ナイフエッジ・トレモロ、AdesonチューンのTri-Sonic などは共通仕様で、ボデイ材や細部の構造、ブリッジ(Standard のみウィルキンソン)、ピックアップの仕上げ(Supremeはカスタム・メイド)などの部分で違いがあります。

 

各モデルに付いている"64"の数字は、マットさん曰く「レッドスペシャル誕生の年・・・ですかね??」

 

価格帯や仕様などは公認レプリカなどと差ほどかわらないようで、サイト内のギター内部の詳細画像 や下のYoutubeの製作過程の動画を見る限りは価格に見合った性能はあるようです。 ポットの軸シャフトや、エンドピンの両側に付いているトレモロスプリングの調整穴、コントロールノブなども完璧にコピーしています。また、内部のアーシングはキャビティの側面やブリッジからキャビティに渡って銅箔を廻らすなど、私の知っている限りでは最も拘って緻密に処理されています。このギターはアメリカで多くのコピーバンドが使用しているようです。

 

1997年にグレッグ・フライヤー氏がブライアンのレッドスペシャルをフル・オーバーホールする前の、要するにボロボロに古びた頃を再現した高価なレリック仕様があります。 下の画像のBlackwater Jamesの女性ギタリストのDeanna が長い美脚ではさんでいるのがそれです。 彼女も自身のライブでよくこれを手にしています。

 

なんとこのレリック仕様を入手された五月さんに見せて頂いた画像によると、塗装の焼け、色褪せ、剥げ、指板の剥がれ、サラウンドの欠け、ブースタースイッチ穴を隠したテープ、バックル傷、ピックガードの傷、ピックアップの傷までまで再現されています。ピックガードの形状、ビスの位置、ブリッジの形状なども完璧です。レリック処理はUSのレリック職人の手によるもので、たった10本だけ限定で予約生産されたそうです。五月さんのコメントを下にご紹介します。 ある意味Guytonよりも入手困難なので、とても貴重なインプレッションです。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
RS Custom Guitars (USA) 中央が80年代までを再現したレリック仕様 (オフィシャルサイト)
ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
上位モデルの"Supreme"   外観上は"Custom"と全く変わらない

---RS Custom Guitars レリック仕様 オーナー 五月さんによるインプレッション---

 

「Relic仕様となっていることもありますが、質感はメチャクチャ良く、ケースを開けた瞬間、これって本物のOld Lady?と思うくらいの雰囲気とオーラがあります。また、細部もかなり緻密にCopyされており、完全コピーとしては、これ以上の物はないと思います。ピックガードのワレ、トレモロブリッジの取付角度、バインディング幅も修復前と同じ細いタイプと、よくここまでやったと驚嘆します。

 

しかし、ネック角や仕込み形状がオリジナルと完全に同じのため、弾くのには、それなりの慣れと修行を要します。BM本人に完全になりきるには、世界最強アイテムの1本ではないでしょうか。音や質感は100万くらいしても仕方ないかなという感じです。 ルックスも物凄いリアルですが、何といっても音です。VOXにFryer繋げて弾くと正にブライアン(本人よりも抜けてるかも)です。ネックのマホが素晴らしいです、あそこまで硬い材はGibsonでも無理です」。 

 

五月さんによる、「RS Guitars」  「RS Custom Guitars」との比較インプレッション

 

「2本を録音して聞いてみるとやはりRS CustomGuitarsの方が独特の枯れやコンプ感等があり、ほとんどオリジナルと言って過言でないです(特にJAZZくらいまでの初期~中期サウンドは正にドンズバです)。RSGuitarsの方がもう少し明るくFatになります。これは確実にテンションが影響しています。

 

ちなみにPUは両方ともモディファイされてますが、RSCustomがadeson Tri-Sonic、RS GuitarsがBurns BM Signatureです。分かりやすくいいますと、オリジナルRSと同じで、Old Ladyと修復後みたいな感じです。 余談ですがFreedomやCombat等、他のギターもそうですが、国産のギターはやはり国産特有の音であり、以前に弾いたKzもこの国産ぽさ(音がかっちりしすぎている)があり、そういう面ではUS製である、この2本は独特のエアー感を持っています。これはやはりUSでしか得られない材の違いかなと考えてます。国産は作りは本当に丁寧で精度は高いですが」。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
五月さん所有のRS Custum Guitars  塗装の褪せ、焼け、剥がれまで見事に再現されているのがわかる

 

 

 

■Aslin Dane

 

ニューヨークのギター&ベースのビルダーであるAslin Daneがつくったもので、その名も「Bohemian」!

クロームカバーのミニハムバッカー3発に、まっすぐなストリング牽引力のためにペグが交互に配置された独自の形状のヘッド、Fulcrumの2ポイントのトレモロ、そしてスイッチ類は3つがPUのオン・オフで、あとの3つは各PUのコイルタップです。マホガニーで2重コートのボディ仕上げは細部まできれいだそうです。

このギターは中国製造で、当初は$349で販売する計画だったようですが、実際には2006年に$499で発売されました。現在ではオフィシャルサイトが閉鎖されているので、営業していないかもしれません。

 

もちろんPUはパラレル接続かと思いますが、おそらくクイーン以外を弾くのであれば、ギターとして一番パワーがありそうなのは想像がつきます。レッドスペシャルの単なるコピーとは一線を画したかなり魅力的なギターだと思うので、現在この価格で国内で入手できるなら是非購入してみたいです。

少し配線を改造して、ミニハムのシリーズ接続や、ミニハム+シングルのシリーズ接続がどんな暴力的な音がするのか?試してみたいですネ。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Aslin Dane (USA) "Bohemian"
ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Aslin Dane (USA) "Bohemian"

 

 

 

【CANADA・カナダ編】

 

■Eastwood Guitars

 

Eastwood Guitars はカナダの量産メーカー。 奇抜な変態系?のオリジナルモデルを得意としているようです。 このモデルはマホガニーのボディとネック、オリジナルのシングルコイルPU、シンクロトレモロ、6つのスライドスイッチ、とほとんど日本のSTAR'S と同じ外観と仕様です。価格も$799と廉価モデルです。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Eastwood Guitars (Canada)

 

 

 

【GB・イギリス編】

 

■John Birch Guitars

 

John Birch Guitars はイギリスのギター・ビルダー&リペアマンのジョン・バーチのブランドです。 ジョン・バーチと言えば、1977年~82年頃にブライアンがサブギターとしてステージや「News of the World」のプロモーションビデオで雪の中で使っていたゴールド・フィニッシュのレプリカを作った人です。 

このモデル以外でも色々なコピーモデルを作ったようで、これらが公認と言えるかどうかは不明です。

ネットで調べた資料によると、レッドスペシャルとはピックアップ(おそらくギルド製)、ボディ構造、配線など全く違うようで、ジョン・バーチなりの新たな表現なのでしょう。

 

彼が制作したブライアン用のレプリカ同様、このギターもリアピックアップはちゃんとブリッジから距離を確保しています。ブリッジもチョーキング時の音づまりを改善するために斜めにオフセットされています。

ジョン・バーチはレッドスペシャルの内部や欠点を最も熟知している人物と言っても過言ではなく、このモデルはレッドスペシャルのあらゆる欠点が改善されており、一番音が良いと予感させるモデルです。

 

デザインもかなり個性的です。 レッドスペシャルタイプは座って弾く時のバランスが極めて悪いので、その改善であるとすればさすがですね。 ただ、このモデルを入手するのは限りなく困難でしょう。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
John Birch Guitars (UK)

 

 

 

■SGL Guitars

 

イギリスでリペアーとカスタムをしていサイモン・ジョーンズが立ち上げたSGL Guitars

レッドスペシャルのカスタム・メイドの販売だけではなく、Burnsのコピーモデルのアップグレード改造(ナイフエッジトレモロ、ローラーブリッジ、ピックガードなどの交換)を行っています。(画像下)

作業工程がオフィシャルサイトにも載っていますが、かなり緻密な作業で仕上がりも良いようです。

完成品レプリカのオーダー価格は£3,950 (日本円で50万円台)です。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
SGL Guitars (UK) カスタムオーダーモデル
ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
SGL Guitars によるBurnsコピーモデルのアップグレード改造例

 

 

 

【AUSTRALIA・オーストラリア編】

 

■Diquattro Guitars

 

オーストラリア メルボルンののDiquattro Guitarsはハンドメイドのオーダーに対応しており、画像のレプリカは2002年に組み上げたもののようです。 

こちらはほとんど内部の情報がないので画像から判断するしかありませんが、外観上の仕上げの完成度はまずまずと言ったところでしょうか。 ここまで似せているのなら少しケチをつけさせてもらうと、ピックガードの形状がボッテリ丸いのと、なぜかピックアップのサラウンドがありません。 日本人的な発想かもしれませんが、せっかくオーダーメイドのレプリカを目指すなら、細部の詰めもキッチリやってほしいですねぇ。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Diquattro Guitars (Australia)

 

 

 

【ARGENTINA ・アルゼンチン編】

 

■Andermay Guitars

 

Andermay Guitars は個人の熱狂的なファンが、趣味の延長でビルダーとなってしまったパターンです。

完成品はほとんど本物に近い雰囲気で、PUサラウンドの材質までこだわっています。

アルゼンチンで私のサイトを発見して翻訳して読んでくれたAndermay Guitars のビルダー本人であるMr. Esteban Anderson が、私に感謝のメールを送ってくれました。そして画像や情報の正式な使用許可を頂きました。Estebanとはその後メールやfacebookを通じて情報交換しました。

 

彼によると、彼は純粋なブライアン・メイのファンで、生活や儲けのためにレプリカ製作をしているのではなく、親しい友人やバンドマンなど、ごく限られたケースのみオーダーをうけているとのことです。

 

アルゼンチンとイギリスは、フォークランド紛争など歴史的に色々とあったので、QUEENは政治を越えて両国を結んだと言えるでしょう。ブライアンがアルゼンチンのこの個人ビルダーにとても友好的な雰囲気が伝わってきます。(画像はAndermay Guitarsより)  

画像 Andermay Guitars(Algentina)より
画像 Andermay Guitars(Algentina)より

 

 

 

【Brazil・ブラジル編】

 

■Copetti Guitars

 

南米もクイーン・フリークが多いことで有名です。 これはCopettiというブラジルの量産メーカー。

ブライアン・メイがこのモデルを持って写っていますが、オフィシャルサイトがポルトガル語なので詳細まではわかりませんが、正式な公認モデルではないと思われます。 シンクロトレモロとアームの形状、吊り下げ式でのTri-Sonic のピックガードマウント、スライドスイッチやコントロールノブ類の質感など、ほとんどBurnsのコピーモデルのコピーといった感じです。

違いといえばトレモロアームにキャップがはまっているくらいでしょうか。

 

ファンである社長がブライアンに会いに行ってギターを持ってもらった写真を、そのままホームページに使ってしまったような気がしないでもありません。 QUEENのTシャツを着て単なるファンと化したうれしそうな社長と、ちょっと迷惑そうにも見えるブライアンの顔は何を物語っているのでしょうか・・・?

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Copetti Guitars (Brazil)
ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Copetti Guitars (Brazil)

 

 

 

【JAPAN・日本編】

 

■Greco (グレコ)   「BM-900」 「BM-80」 「BM-90」 

 

日本のブライアン・メイ ファンなら知らない人はいないでしょう。 しかし、海外のファンからすると、まさにB級コピーの代表格です。 1976年発売なのでおそらく世界初の量産コピーモデルでしょう。

 

似ているようで似ていません。 くびれがなく太ったボディシェイプ(こっちが本当のOld Ladyか?)、ボデイ構造、スケール、トレモロ構造、ピックアップやミニスイッチ、ボリュームとトーンの配置などどれをとっても違います。
私もこのピックアップを一時期使用していました。 ピックアップはストラトタイプのものよりも深く設計されています。「巻き数が多くパワーが出るのでは?」と思わせますが、思ったほどパワーがなく、しかもパラレル接続のため、音質的にレッドスペシャルとの共通点は全くありませんでした。 また、オーナーがよく指摘している問題点は、トレモロを使用した際のチューニングの狂いで、この改善に苦労されているようです。


しかし、不思議に見た目はしっかりと雰囲気が出ており、「似ている」ことよりむしろ「微妙に似ていない」部分が多いことが、かえってマニアの心を刺激します。

 

ここで私が着目したいのは、当時のグレコ(神田商会: 製造は富士弦楽器)ほどのコピー技術があれば簡単に同じルックスのものが作れたはずだという事です。この理由について語られることがありませんでした。 この点、少し考えてみましょう。

 

このページで紹介したメーカーの中では、グレコは群を抜いて大きな量産メーカーです。当時はレッドスペシャルの知的所有権(※1)など法的な縛りがハッキリわからないまま、意図的に色々な部分の外観を微妙に変更して、法的なトラブル回避の逃げ道を残したとしか考えられません。 ピックガードの色もわざわざ変えてあり、穿った見方をすると何らかの対策を行っていたように思えます。

 

もしもそうだとすると、その善悪は別にして、歴史的には意義のあるモデルだったでしょう。 このようなハンドメイドの完全オリジナルギターなど当時は殆どなく、そのコピーモデルを量産メーカーが作って堂々と?売るという、その後のフォロワーへの道筋をつけたわけです(これが法的に良いか悪いかの解釈は下記の(※1)をご覧下さい)。

 

何といっても70年代~80年代まではコレしかコピーモデルがなく、多くのブライアン・ファンの憧れの存在でした。

当時グレコがブライアンに贈ったものを、「懐かしのラヴァーボーイ」のプロモーションビデオで使用したようです。

しかしブライアンは2006年9月に、突然自身の公式サイトのレターでグレコ社を「密売者」とし、不快感とともにこのBM-90を「粗悪なコピー品」「このフェイクに1,000ドルも払わないように!」と酷評しています。

当然といえば当然の主張です。 BM-900、80、90はオークション市場など個人売買や中古市場で大量に出回っており、ブライアンが自分のギターブランドを立ち上げる際の障壁を排除するアクションだったのかもしれません。  むしろそれだけたくさんの累計台数を販売し、商業的にも成功させたグレコが、世界中のコピーモデルメーカーの中でも特異な存在であると言えます。

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ボディのくびれが少なく、ピックガードが赤いべっ甲柄のタイプ。(当時のカタログより)
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量産前の限定販売「プロジェクトシリーズ BM-900」。 ピックガードは黒のべっ甲柄、ボディシェイプは角ばっており、流通量は極めて少なく稀少だ。 (当時のカタログより)
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ピックアップ、スイッチ類、トレモロなど細部も全く違います
ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
彼は「懐かしのラヴァーボーイ」のプロモーションビデオでBM-900を使用

 

 

 

■Fresher(フレッシャー)  「FBM-602」

 

フレッシャーは1973年に名古屋の共和商会(2011年に資金繰り難により倒産)が立ち上げたブランドで、1986年にブランド自体は消滅しました。

レスポールやストラトのコピーモデルを主に作っており、当初は19,800円前後がメインでした。今でこそ2万円も出せば韓国製などでなかなかのスペックのギターが買えますが、当時は少年雑誌などの巻末の通販などがメインで、ビギナー向けの「安かろう悪かろう」のギターでした。その後、主力価格帯が3万円台以上に移行し、品質も上がっていきました。主に製造していたのは初期が長野県松本市の松本楽器製造協業組合、後期が中信楽器製造で、5万円前後の一部のハイスペックのモデルは冨士弦楽器(フジゲン)によるものでした。

 

コナンさんの報告により、このフレッシャーからレッドスペシャルのコピーモデルが出されていたのを確認しました。グレコのBM900に酷似していることから、てっきり冨士弦楽器製のBM900のコストダウンバージョンだと思っていましたが、意外な事実が明らかになりました。FRESHERのギターに非常に詳しく、専門のサイト「FRESHERの部屋」を持たれている伊藤氏に質問をしたところ、以下の回答を頂きました。

 

「フレッシャーのブライアン・メイモデルは松本楽器(名前はマツモクっぽいのでよく混同されますが、別会社です)が倒産する直前に、ほんの短期間製造されたものです。ポスター状になったカタログに記載はありますが、画像は載っておりません。はっきりグレコBM900と違うのがわかる点は使用しているボディ材質とシリアルナンバーがない点です」 。

 

スペックは以下の通りです
品番=FBM-602 (60,000円)
ボディ=ラワン
ネック=ナトーセットネック
指板=ローズ
 

 

以上の情報から、松本楽器製造協業組合は、その名の通り、松本市にある小規模の楽器製造業者の組合で、1976年にはFresherの製造請負は終了しているはずです。とすると、このモデルは1976年のほんの短い期間だけ製造されたものと想定され、流通量もかなり少ないのではないでしょうか。

 

ラワン系のトップ合板やナトーネックのギターは、一般的にはかなり安物のギターに使われていますので、BM900と違うものであることは明らかです。他にもBM900との相違点は、6つのミニスイッチとV/Tノブの形状が違うこと、トレモロユニットは専用ではなくムスタングタイプの流用のようで、カバーの金属が艶消しブラックではなくシルバーであること、PUも専用ではなく普通のシングルPUのメッキカバーであること、そしてトラスロッドカバーに「Fresher」のロゴが入っていることです。

 

画像で比較する限りは、ボディシェイプ、べっ甲柄のピックガードおよびピックアップ、トレモロの形状、スイッチ類の配置まで、BM900の現物から型をとったとしか思えません。FRESHERは、レッドスペシャルそのものではなく、そのコピーのBM900をコピーしたのでしょうか?? なるほど、何か言われた場合には「ウチはレッドスペシャルなんて知らん!グレコをコピーしたんだ!」と言い張れば、グレコをはじめ誰も何も言えません(もちろん邪推ですが)。いずれにしても、松本楽器が倒産する寸前のごく短い期間のものなので、その性能は別として、とても希少な珍種モデルであることは間違いありません。

(上)伊藤氏より画像拝借した フレッシャー 「FBM-602 」  上のBM900と比較すると驚くほど酷似している。            (下)V/Tの配置やミニスイッチの採用もBM900と全く同じ。    トラスロッドカバーには堂々と「FRESHER」ロゴが
(上)伊藤氏より画像拝借した フレッシャー 「FBM-602 」  上のBM900と比較すると驚くほど酷似している。            (下)V/Tの配置やミニスイッチの採用もBM900と全く同じ。    トラスロッドカバーには堂々と「FRESHER」ロゴが

 

 

 

■KID'S Guitar (キッズ ギター)  「BM-260」 「BM-Special」 「BM-Standard」 「BM-Dragon」

 

KID'Sギターの詳細については、木戸氏より届いた回顧録 も併せてご覧下さい。

 

1980年代後半からギタービルダーの木戸氏が営業していたKID'S Guitar。 レッドスペシャル以外でも色々な優れたコピーモデルを製作していました。 1990年代、レッドスペシャルではイマイチのコピーモデルしか無かった中で、ほとんど本物と同じルックスで突然登場しましたが、実物を見る機会もなく、資料といえば楽器店に配布されていたA4のパンフレットのみ。 謎が多く憧れのギターでした。 完全な受注生産のみで、グレードや年度をまたがって4つのモデルが存在していました。 

 

木戸氏からの情報によると、最初のBM-260 (26万円)は実験的につくったもので制作本数は5台程度で、ソリッド構造にレギュラースケール(648mm)。最も制作本数が多かったBM-Special(13万円)でも50台ほどでしたがこちらはセミホロウ構造に変わっていました。初期の頃はT/Vノブは秋葉原で買った汎用パーツ、トレモロスプリングは鉄工所への特注品でした(最初の1台目はモズライトのものを流用)。 このモデルでKID'Sは大きく認知されることになります。バブル崩壊後極端に売り上げが落ちたので、ストップテールピースのstandardも作りましたが全く売れず、すぐにやめたそうです。


そして木戸氏自らが一人で南洋白蝶貝を糸ノコで切り出し黒檀に埋め込んで作ったドラゴンインレイが特徴で、ゴールドパーツ&ピックガード無しの限定モデルBM-50 (50万円)が最終モデルとなります。BM-50はレプリカとしては特殊で凝った仕様であったことや、不況の時代背景も重なり、ブライアンに渡った1台を含めて5、6本の制作本数でした。 BM-260やBM-50は全部で10台もない「超希少品」ですので中古が市場に出回ることはまずないでしょう。

 

マホガニーのソリッド構造、パラレル接続、トレモロシステムも独自と、内部構造は今でこそ本物と違う部分が多いですが、ここがすごいのは今ほど本物の詳しい情報がない頃に、トレモロシステム、ピックアップ、ブリッジ、コントロールノブなど全てをかなりの完成度でオリジナル製作していたことです。しかも一般モデルは13万円~26万円程度と、今思えば非常に魅力的な価格帯でした。近年いったん営業を停止した国産の個人ビルダーが大々的に宣伝していた「K'z guitar」なるものが40万円超していたことを考えると、極めて良心的なプライシングと言えるでしょう。

 

レッドスペシャルがシリーズ配線であることが判明した後も、KID'S ではシリーズ接続よりもパラレル接続のほうが一般的に音が良いと主張し、あえてこの点は変更しませんでした。 KID'S のピックアップはストラトタイプのモディファイなので、Tri-Sonic より単体でのパワーがかなりあり、シリーズ接続にすると干渉し合って音がこもってしまうため、あまり良い音がしないのは想像がつきます。よって、このギターをシリーズ接続に改造すると、KID'Sの意図した性能(=ギターとしての基本性能)が出ない事は明らかです。KID'S としての音を楽しむならノーマルで、レッドスペシャルに近づけるためにシリーズ接続に改造するのなら、ピックアップもTri-Sonic に変換するのが良いでしょう。

 

木戸氏は試作したBM-50ドラゴンを1993年のブライアンの来日時にホテルで本人に渡したところ、気に入ったブライアンが公演前にホテルで一晩中弾いていたという実話があります。それが当時「ブライアンが認めたモデル」と話題になって宣伝に一役買っていました (法的な権利関係で正式に公認したという事実はありません)。 詳しくは木戸氏の回顧録を参照下さい。

 

また、ブライアンが木戸氏を招いて、自分のレッドスペシャルを分解して内部を見せてくれて採寸までさせてくれたという噂もありましたが、これは誤った情報です。  しかし実際に木戸氏は公演前の舞台袖で10分程度会話をし、トレモロカバーの内部からレッドスペシャルの一部の構造を見ています(木戸氏の回顧録)。

 

純粋に最高のものを求め続けたKid'sの方針は、営利目的の大手楽器店との確執もあり、残念ながらKID'S はその後1999年に突然営業を終了してしまいました。 今でこそ、KID'Sよりももっと本物に近いレプリカがたくさん存在しますが、本物に近づけるだけの目的でギターとしての本質を知らないなど、知識の浅い商用コピービルダーが多い中で、純粋に最高のレプリカを目指したのはKid'sならではの特長でしょう。当時を知っているファンにとっては今でも入手したいギターの1つではないでしょうか。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作,KID'S
「KID'S Guitar BM-Special」(Japan) 

 

 

 

■STAR'S (スターズ)  「BM-1」

 

STAR'Sは、Aria、Fernandes、Epiphone などの開発に携わっていた元マツモク工業の開発マネージャーが設立したクエスト・インターナショナルのエレキ・シタールのブランドです。 上記のGreco BM-900がは富士弦楽器で製造されていたようですが、マツモクと富士弦楽器とはお互いに下請け関係にもあったようなので、もしかするとSTAR'SはBM-900の血を受け継いでいる?などと想像してしまいます。

 

 ピックアップはストラトタイプの流用でパラレル配線。 ボディ、ネックともにマホガニー、ソリッド構造で実勢買価は7~8万円ほどの廉価モデルですが音質はなかなかで、シングルピックアップ単体の音ではバーンズやBM900を凌ぎます。 もちろんハーフトーンは高音のハリがあるいたってまともな音ですので、トレブルブースターやAC30などのチューブアンプががない方や、QUEEN以外を弾くのには適しています。

 

このギターの詳しい内容は、今回このBM-1を改造して作った「STARFLEETスペシャル」のページをご覧下さい。 

 

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
STAR'S (Japan)  ココサウンドHPより画像引用

 

 

 

■Sei Guitars   「フルスペック」 「廉価版」

 

こちらは「面白」でも何でもない極めて王道のレプリカです。

Sei Guitars は愛知県でレッドスペシャルのレプリカと関連機材の製作・販売を行っています。

日本人が緻密に製作しただけあって、完成度はこのページの中でもトップクラスと思われます。

「フルスペック」(546,000円)と「廉価版」(430,500円)があり、その違いは廉価版が指板にエボニーを使い、ボデイー材にマホガニーを使用しているくらいです。 

 

Sei Guitars の方針なのか、非公認ゆえなのか、ここは殆どメディアなどに顔を出さず控えめです。

クチコミがメインのスタイルのようで、かえって謎の存在です。

どこの世界でも拡大路線で積極的に設備投資をして、その後消えてしまう会社が多いですが、

ここは取扱い品目も広げずに地道な運営をしているようにも見えます。

実物を見たことはありませんが、サイトで詳細を見る限りは、国内ではこのレプリカが一番良さそうです。

ここが製作したトレブルブースターも良いという噂を聞きました。

 

白いスライドスイッチや、オリジナルスタイルのノブ、トレモロアッシーなど、国内で入手できるのもここだけになりました(但しそれなりの金額はしますが・・・)。

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
Sei Guitars (Japan) Sei Guitars のオフィシャルサイトより引用

 

 

 

■番外編 FERNANDES(フェルナンデス)  ZO-3

 

ええっ?? あのフェルナンデスにもレッドスペシャルがあるの???

 

というか、レッドスペシャルもどきともいうべきか。 コナンさん情報で面白いモデルがありました。

ご存知フェルナンデスのミニギター「ZO-3」(「象さん」の愛称でお馴染みですネ)なのですが、BMGの「ミニ・ブライアン・メイ」を超えるようなかわいい奴です。

 

これはカックルさんという方所有の当時のカタログ画像を、コナンさんより送って頂き、初めて知りました。

 

なんとピックアップはバーンズ。ネックのドットポジションマークもレッドスペシャルばり。

さすがに24フレット仕様ではありません。

生意気にトレモロカバー付きで、ペグボタンはパール仕様。

ディストーションの切替スイッチになんと白いスライドスイッチが! 特注品でしょうか?

そういえばZo-3って609mmのショートスケールだからレッドスペシャルと同じ。 スピーカーユニットを外して空洞にし、ピックガードでフタをして、Tri-Sonicをもう1個付けてシリーズ接続に固定すれば、実はかなり似ちゃったりして・・・

 

私はこのギターをお店で見たことがないどころか、その存在すら知りませんでした。

しかし、天下のフェルナンデスが勝手にブライアンの名前を掲載して良いのでしょうか?

それともちゃんと許可を得たのでしょうか?? 

ブライアン・メイ レッドスペシャル レプリカ・コピーモデル Brian May, RedSpecial,自作・改造・製作
フェルナンデスのカタログより

 

 

 

■番外編 GUYATONE(グヤトーン)  Gloryシリーズ

 

レッドスペシャルのコピーではありませんが、1970年代後半から80年頃にかけてグヤトーンから出されたモデルです。レッドスペシャルの影響を受けているのでは?と思わせるボディシェイプとピックガードのライン。私は当時、BM900のかわりにこのモデルも気になっていましたが、ラウンドトップにハムバッカーの、いたって真面目なモデルで、7万円~15万円という価格帯により選択肢から外れました。

 

GuyatoneはTEISCOと共に変態系のビザールギターで有名ですが、これはGuyatoneにしては正統派なほうではないでしょうか。当時はロリー・ギャラガーと共同開発モデルがあり、ギターでも気合の入っていた頃ですね。ブラウンに黒のピックガードのタイプは、かなりレッドスペシャルに近い雰囲気を出していました。個人的には今こそ入手したいモデルですね。

1980年のグヤトーンのカタログより
1980年のグヤトーンのカタログより

 

 

 

 

(※1) 【レッドスペシャルの知的所有権 および 法的・倫理的な解釈について】

 

刊行物やサイトなど、レッドスペシャルに関連する情報発信において、これまで非公認コピーモデルの善悪については暗黙の内にフタをされていました。ここを追求すると、紹介や情報発信ができなくなる可能性があるからです。

 

しかし、このサイトを作るにあたって、この部分の法的根拠と倫理的解釈についてじっくり考えてみました。 

 

   

1.法的根拠について

 

レッドスペシャルについては、工業製品としての新規性は殆どないため、「特許・実用新案」などはおそらく過去にも申請されていないでしょう(仮に当時申請したとしても確実に拒絶されます)。もしも可能性があるとしたらトレモロの構造の部分だけでしょうが、基本的にはムスタングのシステムの変形であることと、わざわざあの面倒な仕組みを量産で採用するメーカーはないため、出願自体の意味は全くないでしょう。

 

デザイン・模様・形状などに関する「意匠権」ですが、これも特に新規制や創作性のある形状・デザインとまではいかないため、商業的には認められないでしょう。 レスポールとSGを足して割ったと言えばそれまでですし、その後も「ダンエレクトロ」などそっくりなギターはたくさん存在します。

 

「レッドスペシャル」という「商標」も日本では登録されていません。 「レッド」と「スペシャル」はどちらも一般的に用いる周知性のある単語で、これをくっつけて連合商標とすることはできないでしょう。自動車が「ターボ」や「リミテッド」などを商標登録できないのと同じです。また、「BM」や「RS」などアルファベット2文字は商標登録できない(自動車の「GT」と同じ)ので誰でも自由に使えます。 若き日のブライアンにもう少しビジネスセンスがあれば、「レッドスペシャル」や「ハンドメイドギター」(これらもファンが言い始めたはずです)ではなく、もっと特徴的でインパクトのあるネーミングをファンに認知させて、その商標の使用権である程度の権利は守れたはずです。

 

次に、「著作権」です。ギター本体は著作物ではないので、ワイヤリングなど回路図に関しては該当する可能性があります。 似た事例では、創作性の高い料理のレシピの文章や絵の表現は著作権が発生します。 著作権は著作者の死後50年まで権利が保有されます。 しかし、レッドスペシャルに採用されているフェイズ・アウト・スイッチ自体はレス・ポール氏が1950年代には一部のモデルに採用していたたため、これも無理でしょう。(ブライアンの配線自体は、フェイズの位相切替と、ピックアップのオン・オフで、オン・オフのスライドスイッチを6個使った単純なものなので、特に新規性があるとは見なされないでしょう)。

 

残るは、これらの知的所有権で守ることのできない模倣を規制するための「不正競争防止法」です。

これは国や地域、業界によって判例も全く違うので、解釈の難しい法律です。

重要なのは模倣された商品が、一般に周知性がある必要があります。 この周知性とは、例えばルイ・ビトンのバッグだとか、ロレックスの時計のブランドマークなどです。 自動車やギターなどはいくらでも似た形状や色があります。 何よりも、レッドスペシャルに周知性があるかと言うと、おそらく主婦100人に聞いても誰も知らないでしょう。 しかもこの規制期限は日本では発売開始から3年間です。 レッドスペシャルの摸倣によって、毎年数億円などの売上げをあげている業者がいない限り、このような法的処罰の対処になるケースは、現実的にはほとんどないと思われます。

  

よって、現在のコピーモデルの公認か否かについては、ブライアン・メイの名前を正式に使えるか否かだけであって、それ以外の法的な制約はないと言っても過言ではないでしょう。 これすらもブライアン・メイの名前を間接的に宣伝に使う分には罰則の対象とするのは難しいでしょう。

 

ちなみにエドワード・ヴァン・ヘイレンは、彼のギターである「フランケンシュタイン」のあの独自な模様の意匠と「EVH」の商標の権利をかなりしっかり管理しており、ギター以外のアクセサリーの分野にもビジネスの範囲を広げています。 それと比較すると、レッドスペシャルは法的な独自性には乏しく、ブライアン本人もそれをわかってか、コピーモデルに対してはある程度黙認しているようです(一時期、ブライアンのオフィシャルサイトにグレコのコピーについてかなり厳しい主張をして酷評をしていましたが、法的訴訟の労力、時間、お金を考えても見返りは絶望的で、実際に法的措置はとりませんでした)。

 

また、個人ビルダーがワンオフのオーダーで作って個人売買するようなコピー品は、今後いくらでも出現する可能性があり、法的に限って言えば、個々に訴訟するメリットもないでしょう。

 

 

2.倫理的解釈について

 

法的な根拠を除外して考えたとして、前提としてブライアン・メイはこれまでグレコなど一部の会社を除いて、コピーモデル(ビルダーのオーダーメイド品を含む)については、かなりおおらかに黙認しています。

これは、コピーモデルの製作者が、商用目的か熱狂的ファンの趣味の延長なのかの境目の判断が難しいからで、ブライアンがファンを大切にする人柄も関係しているかもしれません。

 

また、グレコ以外の量産メーカーのコピーモデルの流通は極めて少量で限られており、「ブライアン・メイ・ギターズ」の営業に支障をきたす規模まで至っていないことも理由のひとつでしょう。

 

結局は、ギタリスト「ブライアン・メイ」が作ったギターをコピーして、その販売を商売とすることの倫理観を、売り手、買い手ともにどのように感じるかといったモラル上の判断となるのではないでしょうか。 当然公認を得られれば堂々と販売できますし、そうでないメーカーはアンダーグラウンド的な存在となります。

 

何よりも、未公認のコピーモデル以前の問題として、Fender 、Gibson以外のストラトタイプやレスポールタイプなどを一度でも買ったことのある人は、私を含めて、コピーモデルを倫理的に悪と主張する資格はないでしょう。 これは観客からお金を取って報酬を得るコピーバンドの肖像権・著作権の問題と似ています。 また、熱狂的なファンが個人でブートレッグを購入して楽しむ権利についての考え方とも似ています。

 

 

ブライアン側の倫理観に立つと、当然非公認の商用コピー品はいかなるものも排除して当然でしょうが、ファンとしては合法的に入手する権利と楽しみが無くなります。 あくまで推測ですが、ブライアンが未公認ビルダーの製作したコピーギターに気軽にサインなどに応じている言動から考えても、ここはブライアン本人もある程度理解があるのではないでしょうか? 

 

本来は、未公認モデルと比較して質が高い「本物」であるからこそ公認モデルの価値があるのですが、レッドスペシャルのレプリカに関しては必ずしもそうとは限らないのが難しいところです。 

そもそもそう奇抜なデザインではなく、法的な革新性も無く、ブランドマークが無刻印の「レッドスペシャル」という"存在"自体が漠然としています。ブライアンが最初から1つの会社だけにブランドを与え作らせれば、もっと単純な話であったでしょう。 

 

10万円以下の安価で 外観や性能も全く異なるモデルは、購入者もそれを理解した上で購入しますし、また、あくまでクチコミで身内に向けてのオーダーメイド品なら倫理的にも許容されていいような気持ちはありますが、ここの線引きは非常に難しいです。 

しかし、ブライアン・メイの名前や肖像権を勝手に使ってあたかも公認ギターのように誤認をさせ、大々的に宣伝し、暴利をむさぼっているような業者はアウトと言わざるを得ないでしょう。
日本ではこの点が割りに理解されていますが、海外ではこれらの倫理観が比較的に薄いために、レプリカが乱立するという状況になっているようです。だからこそ、このページの特集が成り立つのですが。

 

 

 

 

 

コメント: 5
  • #5

    管理人(すこんブライアン) (火曜日, 09 10月 2012 19:52)


    まさか木戸さんから直接投稿頂けるとは思ってもみませんでした。
    ありがとうございます。

    また、興味深い事実を教えて頂きましてありがとうございます。
    伝説のギターだった上にKid's Guitar の営業が終了し、その後噂話がひとり歩きしてしまっていたようですね。

    細々とではありますが、レッドスペシャルのマニアは生きながらえています。また、面白い事実がありましたら是非聞かせて下さい。

  • #4

    木戸 宏 (火曜日, 09 10月 2012 17:24)

    ブライアンが分解して見せたというのは、少し誇張がすぎます。場所は確かNKホールの舞台袖で、リハーサルの間10分くらいの短いじかんです。ブリッジの高さ調節がうまくいかずボール紙を酢ペーサーにしているといってました。ドラゴンインレイのBMはその前々日赤坂のホテルロビーで、「すすめ~」的な雰囲気でブラアンさんをお願いします。とフロントに伝えましたが、なんの返事もなくFと座っていたら、いかにもROCKバンド関係者と思われる(ローディー風)男にブライアンにギターを持ってきたとケースを開けてみせると、「ちょっと待ってな」と言って10分後に戻ってきて、今忙しいと言うので「じゃこれ渡しといて」と預けて帰った。あのローディ自分のものにするかも、と思いながら帰路についたが、彼に謝りたい(故人だが)彼がコージー戸は後で知ったことでした。

  • #3

    starfleet-planning (水曜日, 08 9月 2010 09:58)


    コナンさん

    ありがとうございます。
    コナンさんの情報は間違いないように思いますが、確かにカタログの文面だけからは100%の確証は得られませんでした・・・

    では、ご要望のように最初の書き込みだけとりあえず非表示にさせて頂きますね。
    また何かありましたらよろしくお願い致します。


    P.S.
    サウンドプロジェクトシリーズのBM900は、所有者が少ない上に手放す人も少ないでしょうから結構なプレミア価値がありそうですね。今後私もヤフオクなど気にしてみることにします(高くて手がでませんが)。


    すこんブライアン

  • #2

    コナン (火曜日, 07 9月 2010 17:12)

    starfleet-planning さん

    早速の御返事ありがとうございます。
    削除の依頼は当方も確証がある訳では無く色々と自分なりに見た結論なだけですので、また誰かの訂正を受けるかも知れないので削除願いを出したのですが・・・

    こういう情報交換や討論も必要と思うのであれば残して下さって構いません。

  • #1

    starfleet-planning (月曜日, 06 9月 2010 19:04)

    コナンさん

    貴重な情報をありがとうございます。
    見知らぬ方でも大歓迎です。

    なるほど、そうでしたか!
    このプロジェクトシリーズのカタログの文面を見ると、品番もBM900で価格も9万円ですが、確かに「購入者を募集中」と書かれていますね。
    私はBM900=プロジェクトシリーズと勘違いしていました。

    また、1976年~77年頃のプロモーションビデオでは、ブライアンは丸いシェイプのものを使っていましたので、てっきりそれが初期モデルと思っていました。(グレコはブライアンに量産モデルのほうを贈ったのでしょうね?)

    早速表記は訂正させて頂きます。
    オープンしたばかりですので、このような情報はとても嬉しく思います。
    削除したほうがよろしいですか?


    すこんブライアン