レッドスペシャル 欠点の改善 = 「BM-50th計画」 仕様設定

■ボディ構造
当初からセミホロウ構造にするつもりはない。前述のように、レッドスペシャルのセミホロウ構造は中途半端で不可解なものである。レッドスペシャルの音の特徴の主要因はそのボディ構造自体ではなく、ピックアップレイアウトとその配線や、ネックの構造、太さやボディとの接合方法にあると思うからだ。

 

私は以前、クリーム時代のクラプトンに憧れて、Orville by Gibson ES-335を所有していた。しかし、アンプを通してオーバードライブさせて練習スタジオで弾くと、そのハウリングに悩まされ、布で内部を塞いでも解決できずに手放してしまった。

 

また、私の「レッドスペシャルもどき1号機」(1982年)はソリッドギターがベースであったが、浅はかに内部をくり貫いて空洞部を増やしたところ、後に経験したES-335に近いトーンとハウリングが発生した(結局、シリコンで部分的に塞いで改善した)。

 

ES-335のような完全なセミホロウ構造の場合は、ブースターでドライブさせてAC30をフルボリュームなどにしたらまともに使えないであろう。私はブライアンでさえ、コンサート中にフィードバックをうまくコントロールできずにハウリングしてしまうシーンを何度か見た。

 

BM-50th 計画」および「STARFLEETスペシャル」ではソリッドを基本設計として、適度な空洞部を設ける「セミ・ソリッド」とし、ピックアップをダイレクトマウントすれば、より効率的な設計、コスト、作業で、ほぼ同等の音が出せると予測した。

 

 

■スケール&フレット
BM-50th 計画」では「ミディアムスケール(Gibsonスケール)&22フレット」を採用するであろう。適正なピックアップのレイアウトと適正なテンション、そしてハイポジションでの弾きやすさを考慮すると、「ショートスケール&24フレット」は適さない。

 

■ピックアップレイアウト&配線
せっかくシングル×3ピックアップなのに、レッドスペシャルはストラトの音が出せない。具体的には、リアピックアップがブリッジ隣接のためリア単体の音が使い物にならない。また、最大の欠点はストラト特有の「ハーフトーン」(2つ以上のピックアップのパラレル接続)が出せないことだ。

リアピックアップを適正な位置にレイアウトし、配線は各ピックアップにシリーズとパラレルの切替えスイッチを設ければ、全てのバリエーションの音が出せる。これはスイッチを増設することなく6つのミニスイッチだけで表現できる配線方法を考案したので今回の改造で採用してみた。

■ピックアップ
バーンズのブライアン・メイモデルのTri-Sonicピックアップは、シリーズ接続で最大の効果の得られるように設計してあるように思える。しかし、ストラト的な音作り(ピックアップ単体やパラレル配線)にはパワー不足で向かないようだ。今回の改造ではバーンズを採用したが、「BM-50th計画」では市販のシングルコイルピックアップの中から、単体・パラレル・シリーズ の音で最大の効果を得られるピックアップを探さなければならない。これにはかなりの時間とお金がかかるので、私のような素人個人では難しい作業だ。

 

 ■スイッチ
3つのピックアップのON-OFF、フェイズ IN-OUT、シリーズ・パラレルの切替え、これをすべて6つのスイッチで行うためにはスライドスイッチでは不可能だ。スライドスイッチには6Pや9PON-ON-ONのような特殊回路スイッチが存在しないからだ。見栄えとしても操作性やノイズ対策としても優れているミニスイッチを採用する。今回の改造から早速採用した。

■ピックガード(コントロールパネル)
コントロールパネル自体に何の意味もない。スライドスイッチは採用しないので、余計なビスが出ることもない。

■トレモロユニット
レッドスペシャルのレプリカ用のトレモロユニットは高額でちょっと手が出ないし、またソリッドギターへの取り付けは無理そうだ。ムスタングやジャガーのトレモロはチューニングが不安定なことで有名である(グレコBM-900もこのシステムの変形)

 

ミディアムスケールのギターで、フローティング構造ではなく、チューニングのトラブルも少ないシステムとして真っ先に浮かんだのは、GibsonSG Jr.でよく後付けされているマエストロの板バネタイプだ。これは何となくレッドスペシャルの外観に似てなくもない。何よりも構造がシンプルで取り付けが簡単だ。性能が良くて安い(数千円)コピータイプも出回っているので、今回の改造モデルで採用し、問題なければ「BM-50th計画」で採用しようと思う。

■ボディ形状
座って弾くときに安定し、長時間弾いても疲れないように、膝の部分のカッタウェイを変更する必要がある。全体のデザインバランスを崩さない程度に微修正すれば良いであろう。

かつてブライアンがステージでサブとして使用していたレプリカを製作したイギリスのJohn Birch(ジョン・バーチ)が作ったレッドスペシャル風のオリジナルモデルは、独自のボディ形状をしているが、かなり私の求めているものに近い(画像下)。

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John Birch(ジョン・バーチ)製作のオリジナルモデル


■ヘッド角度&ペグ
レッドスペシャルは4度の角度がついているが、この角度は今回の改造でも「BM-50th計画」でもたいして関係ない。なぜならゴトーからHAPMシステムという画期的なペグが発売されているからである。これはマグナム・ロックというロッキングシステムに加えて、ストリングポストの高さを自由に調整できる機能も一緒についた優れモノである。つまり、ヘッドの角度とは関係なく、弦のナットへの進入角度を自由に調整できるのである。このため、細かいテンションなどチューニングの改善もできる。ストラトならストリングガイドも不要になる。ネットで1万円以下で購入できるため、製作段階で色々なヘッド角度を試してみなくても良いので大きなメリットだ。これはシャーラーのロッキングペグよりも大幅に安いので今後も大活躍しそうだ。

 

                   

                    ⇒STAR'S大改造 製作過程の紹介

 

 

 

 

 

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