自作トレブルブースター ・ その他器材関連

今回改造試作した「STARFLEETスペシャル」はノーマルのままでも使えるオリジナルピックアップ配線を採用したため、アンプのゲインや市販のファズ、オーバードライブ系できれいに歪みます。

 

しかし、せっかくなので、ブライアンの18番であるリア+センターのシリーズ接続のこもった音を、トレブルブースター(ミッドブースター)で補正した「例の音」も出してみたいと思いました。  

つまり、ベースをカットして、ミドルとトレブルをつまみ出して増幅する簡単な回路が必要です。

 

市販のトレブルブースターは高過ぎます! 2万円前後で売っているものもザラ。
中にはブライアン・メイの名前を勝手に語っているものもあります。
よほど先進的な半導体回路をたくさん使っているか、開発に数千万円かけたのでなければ有り得ない価格。 本当にそれだけの効果が得られるとはとうてい思えません。  

 

ネットに某社ブースターの中身の画像が掲載されていましたが、とても小さな基盤が1個でケース内はスカスカ。

どうも納得がいきません。色々な能書きを書いて高い価格を正当化していますが、もともと特殊回路もなくパーツ点数の少ないのがブースター系(ブースターの原理を考えれば明らかです)。 価格の多くは後付けのウンチクやブランド名かなと思いました。 ブースター系の効果は人によって曖昧に感じられ、その他のエフェクターのように客観的に評価しにくいのです。そのため、どうしても主観的な評価に左右されやすく、このような「言い値」がまかりとおってしまったと考えられます。

 

   

 そこで、せっかくギターを安く改造したので、トレブルブースター、ミッドブースターも自作することにしました。  性格の異なる2個のトレブルブースター、フルレンジブースターを作れば、練習用小型アンプのクリーンチャンネルの小音量で歪ませたり、「STARFLEETスペシャル」以外のギターで使ったりするのに便利だと考えました。

 

手間をかけてマトモな音が出るギターに改造したのに、わざわざ余計なモノを作って遠回りして音作りをするのは完全に無駄のようですが、いいのです。 ブライアンが試行錯誤した上に辿り着いた道を追ってみたいのと、トレブルブースターを自作してみたいという好奇心がありました。

ブライアン・メイ レッドスペシャル 自作・改造・製作 QUEEN クイーン トレブルブースター
今回自作した2つのブースター。 デザインはPete Cornishを真似しました

 

そこで、ブライアン・メイのブースターに近くするためのシンプルなミッドハイブースターと、ベース~トレブルのレンジ切替えと、かかり具合を微調整できるフルレンジブースターの2台を自作しました。

デザインは写真で見たブライアンのPete Cornish(ピート・コーニッシュ)製を完全に真似しました(汗)

個人使用目的なのでご容赦を・・・

  

上の画像の右(TSI1.8)は私のオリジナル回路で、ミッドハイのブーストに特化したものです。

こちらは、ブーストや音質に影響するトランジスタ、コンデンサー、抵抗はソケット式(端子を自由に差込みできる)にしてあり、今後も色々なもので試してみたいと思います。

トランジスタは「BC-182L」「2N5088」「2SC2458」の3つを目隠しテストで試してみましたが、ブライアンが使っていると思われる「BC-182L」が最も硬さがなく自然な感じがしました。

 

左(FSI2.0)は「誰でも作れるギターエフェクター」(2004年,ギターマガジン社)に載っていた「BMブースター」の回路を参考にして若干変更しました。 回路の電力を奪う上に余計な配線が必要なLEDは排除しました。

 

半導体以外の部品の多くは、つい先日30年以上の長い寿命を全うした、ソニーの「スカイセンサー5800」の基盤から適当に外して使いました。

 

トランジスタ、ダイオード、スイッチ、ケース、ジャック以外はほとんどお金がかかっていないので、どちらもかかった費用は2,000円程度です。一番高いパーツはケースで、どうしても800円前後はかかります。

もっと安く作りたい場合は、練習程度の使用でフットスイッチを必要としなければ、100円ショップのアクリルケース内全体に、料理用のアルミホイールを貼れば、立派なアルミケースが出来ます。ケース内からタミヤカラーでも吹けば、表面処理など一切不要で塗装できます。

 

塗料などを特別に買えばさらに製作費用はハネ上がりますが、その点Pete Cornish(ピート・コーニッシュ)のデザインは秀逸です。塗装は不要で、表示ラベルはテプラで十分なので、自作なら実質はタダです。
でもこの無骨さが何故かカッコ良く見えます。

 

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ブースターの部品は、この壊れたスカイセンサーから移植

 

実は私はVOXのAC30はかなり以前に手放してしまい、現在は持っていないのです・・・

「そんな奴がブライアンサウンドについて語るな!」とお叱りを受けそうですが。

 

ブライアン・メイのサウンドは、AC30のフルボリューム+トレブルブースター1個で歪ませるのが基本です。

 

AC-30を鳴らした事のない方は、フルボリュームがどんな大音響か想像つかないかと思いますが、

部屋で弾くとしたら、ボリュームが"1"でも音が大きすぎます。

しかも、小音量で鳴らしてもこもった音しか出ないため、ブライアンの音を出すためには逆効果です。

また、このアンプは滅茶苦茶重いため、ステージに立たない人にとっては単なる部屋の不動の置物と化します。


仮に今AC30を持っていたとしても、現在はステージで弾く機会がないため、我が「多摩ベース」でほんの一瞬でもフルボリュームなどにしたら、ドリフのコントのように2階が崩れ落ちるか、さもなくば近所から追放されます。 よって今の私にとっては持っていても飾りにしかならないアンプです。

 

私が以前所有していたAC30は、1、2時間弾くと何故か必ずヒューズが飛ぶというワケありの中古品でした。いつしか実家のベッドの横のサイドテーブル&本棚と化してしまい、数年前に久しぶりに実家に帰ったらナント処分されていました・・・

 

そういえば、AC-30の裏に書かれていた「High Voltage」の文字。 トップ画像の左側のブートレッグのタイトルも同じでしたね・・・ 

  

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「VOX AC-30」 株式会社コルグのHPから画像引用

 

音出しチェックに使ったアンプはFENDER JAPANのチューブアンプ SVD-20CE。

リーズナブルな価格ながらも8インチのCELESTIONスピーカーを2発マウントしており、クリーンチャンネルの音は発売当初からかなり評価の高かったものです。自宅の少出力アンプでブライアンの音に近いものを出したいのであれば、個人的にはVOXの15Wなどの小出力モデルよりもおすすめのアンプです。

(AC30と、VOXのpathfinder系や「ブライアン・メイ・スペシャル」(これはライブ用ではなくレコーディングでのクイーンサウンドを模したもの)など10~15Wのアンプとは全く別物と言っていいでしょう)

 

さて、ミッドハイブースター「TSI1.8」に、「FSI2.0」をベース・ブーストのポジションで繋げて音だしをしたところ、アンプのボリュームを絞ってもハードに歪み、なおかつコードの音がつぶれずに、音のツブは失われていない「例の音」に近い音が再現できました。 SVD-20CEのクリーンチャンネルでさえ、アンプのボリュームを"3"以上にしたら相当な大音響です。 また、ギターのボリュームを絞るだけで歪み量が調整できます。

 

もちろん、本物のレッドスペシャルをAC30のフルボリュームで鳴らした音とは土俵が全く違います。しかし室内の練習程度の音量レベルで比較すると、ライブでのブライアン・サウンドにかなり近くなりました。 

 

 

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左がFender Japanのチューブアンプ 「SVD-20CE」。自宅練習はもちろんのこと、ミニステージくらいなら十分に使えます。このクリーンチャンネルは素晴らしいです。この性能で何よりも安いのが魅力。ステージに立たなくなって、これを購入してから私にとってAC-30は無用の長物となってしまいました・・・

 

右が数年前に夜間の練習用に買ったイギリスの「KUSTOM TUBE12」。 プリアンプに真空管12AX7を1管搭載しており、ボリュームを上げるとまろやかにしっかりと歪みます。 新品を1万円程度で購入したので、てっきり「なんちゃってチューブ」かと思いきや、とてもいいアンプでした。神田商会が総発売元ですが、企画にも関与していると思われるので品質は問題ないでしょう。 こいつも生意気にCELESTIONスピーカー搭載です。

 

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エフェクトボード内が、「STAFLEETスペシャル」を弾く場合のエフェクター類です。

ブースター2台以外では、MXRの「Phase90」 BOSSのデジタル・ディレイ(兼ピッチシフター)の2台があれば、私程度のアマチュアにはクイーンをコピーするには十分です(右端はボリュームペダル)。

 

ボード上に出された、ARIAのフランジャー兼コーラス、Guyatoneのディストーション兼イコライザー(普段はこれをブースター代わりに使用)、BOSSのコンプレッサーの3つは、ストラトを使用する時に使っていますが、この3つのエフェクターはtri-sonicとの相性が良くありません。 tri-sonic は特に空間系のエフェクターとは合わないようで、途端に音がショボくなります。 ブライアンがフランジャー系を使わず、超マイナーなFOXXのペダルフェイザーを使っているのもそのあたりが関係しているのではないでしょうか。

 

また、tri-sonicのシリーズ接続にGuyatoneのディストーション兼イコライザーを通すと、音が滅茶苦茶につぶれて散らかります。ピックアップ1個だけに通すと、全く音のハリのない、通販の安物ギターのような音になります。 ディストーション系のエフェクターとも相性は良くないようで、基本的にトレブル・ブースターを使ってQUEENサウンドを出す以外には殆ど用途のないピックアップと言ったら言い過ぎでしょうか?

 

 

 

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いろいろなギターを買っては売って入れ替わってきましたが、手前の「STARFLEETスペシャル」以外ではこの3台だけはここ何年も不動です。

 

左のクリーム色のストラトが私のメインギターで、20年近く前に購入したFenderメキシコの本体に、後からクラプトンモデルの22フレット仕様のV字ネックをセットしたものです。ネックを替えただけで鳴りが激変することをこの時初めて実感しました。 スイッチ類は昔のジェフ・ベックのストラトのようですが、配線は違います。当時からコントロール・配線は「レッドスペシャルもどき」と同じマスターボリューム、マスタートーンおよび3つのON-OFF-ONミニスイッチで、フェイズイン・アウトの全バリエーションが出せるように改造してあります。ピックアップはSSHで、リアはディマジオに交換してあります。 

 

右は70年代後半のARIAのレス・ポール・カスタムタイプです。

70年代のGibsonで見られた珍しいパンケーキ構造になっており、ネックは細身でとても弾きやすく、音も素晴らしいです。

 

 

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左端はGibsonの J-50です。マーチンを買いに行ったのですが、弾き比べてこちらに惚れこんでしまい即効買いしました。生鳴りの圧倒的な音量や素晴らしいトーンに驚かされ、ピエゾPUを通しても12弦を弾いているような音の広がり感が素晴らしいです。クイーンのアコースティックナンバーにもぴったりで、 Ovation 12弦の必要性を感じません。

 

 

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左は1987年頃に新品購入したタカミネのNPT-108。 80年代前半までエレアコはOvationの独壇場でしたが、日本の小規模メーカーだったタカミネが世界に飛躍したきっかけともいえるギターです(私はOvationのラウンドバックがどうしても好きになれませんでした)。 Bruce Springsteenが1985年のツアーで使用していっきに有名になりました。薄めのボディに40mm強の狭いナットで弾き易く、生音もピックアップを通しても最高です。GibsonのJ-50よりも気軽にガンガン使えるのが良いところ。当時はステージによく持って行ってました。今後も一生手放さないでしょう。現在ではタカミネは大量生産の廉価ギターのイメージがついてきたのが残念です。

 

こんなやんちゃな頃もありました・・・