他者の改造作品紹介 (BM-900 & BURNS)
マニアックでアカデミックなレッドスペシャルファンはたくさんいますが、当サイトで知り合ったコナンさんとnaoさんはその中でも筋金入りです。
私が、レッドスペシャルの外観の相違はある程度妥協して、性能・コスト面で新たな解釈で改造をしたのに対して、この2人は外観およびサウンドの再現を徹底追及されています。そして、「STAR'S」ではなく「BM-900」と「BURNS」というところにも興味をそそられました。
1.「BM-900」 modification by Conan
コナンさんは、レッドスペシャルはもちろん、QUEEN全般に関して造詣が深い方です。
そのコナンさんのBM-900大改造モデルです。
ボディシェイプだけはBM900ですが、その他は全く原型を留めていません。
細部にまでわたって大手術が施されており、ここまでの改造BM900を見たのは初めてです。
改造ポイントは以下だそうです。
①0フレット増設
②PUをバーンズに交換 ←カバーを変形させてリアル感の再現
③シリーズ配線へ変更
④スライドスイッチ・オリジナルタイプVo/Toノブ(SEI製)に交換
←これに伴いスイッチプレート・ピックガード・サラウンド制作
⑤トラスロッドカバー制作
⑥オリジナルタイプブリッジ(SEI製)へ交換
⑦純正トレモロシステムを流用してのオリジナル形状風の制作 ←これに伴いトレモロカバー制作
⑧オリジナルタイプのトレモロアーム制作
⑨ペグノブをパール仕様へ
➉Vo/Toの位置変更
⑪内部導電塗料の塗布
⑫ピックガード等のネジ位置修正
よくぞここまで・・・
特に完全自作のトレモロアームと角型テールピースが素晴らしいですね。
オリジナル・ユニットと見間違うほどです。 また、フローティング状態が小さくなるように加工したのだとか。
コナンさん談
「表札等を掘ったりする程度のホビー用ミニルーターが家にあったのでそれ一本でアコースティックホールやピックガード、ピックアップサラウンドの削りだしを行いました。飽きるほど時間がかかりましたが(笑)
しかもたいしたテンプレートも作らずに(苦笑)」
私も思いましたが、高額な工具を買い揃えれば、きれいに仕上がるのはあたりまえで、
我々の素人改造は、いかに手持ちの工具を工夫して苦労して仕上げるかという部分こそ楽しいのですね。
ブライアン少年もきっと同じように、ゆっくりとコツコツと仕上げていったに違いありません。
ブライアンが凡人と違うところは、異常に根気強く、繊細かつ緻密に、そして時間をかけて地道に仕上げていったのでしょう。
コナンさんのBM900改 チューニング改善について
以下、コナンさん談
「グレコBMのトレモロ操作時のチューニングの狂いの原因はトレモロシステムでもブリッジでもペグでもないんですよ。 実はナットが良くないからです(BM900の純正ブリッジは固定式では無く弦の動きに追従する振り子式の可動タイプ)。」
「ヘッド角が強くて弦がナットで折れ曲がるので癖が付いてアーム時に元の位置に戻れないのです。そこで最初はナットの上(ヘッド側)にナットから先で折れないように弦下にサポーターを作って支えていました。 ナットは弦の位置を決めるだけのガイドみたいな存在と考えて。(画像上参照 以前のテスト段階の画像です)。 成功でした。 0フレット仕様で弦の滑りを良くしてナットはストリングガイドの役目。チューニングの狂いはチューニングメーターでみても気にならないレベルになりました(ロック式には及びませんが)」
なるほど。 BM900オーナーにとっては貴重な情報ですね。
確かにこれだけのアングルネックだと、チューニングは狂いやすいでしょうね。
レッドスペシャルのアングル角度は4度と非常に浅いのは、サスティンよりもチューニングを優先してのことでしょう。 フロイドローズのロックナットは効果があるのでしょうが、ネックに2ヶ所の大きな穴あけをしなければならないことと、チューニングが面倒になります。まさかローラーサドルというわけにもいかないでしょうし。
余談ですが、STARFLEETスペシャルにで採用したゴトーのH.A.P.システム付きのロッキングペグに変えると、弦ポストが最大で6mm高くなり、弦もロックされるので改善が見込めるかもしれません。これは通販で9,000円強で買えます。STAR'Sは10度のアングルネックなのですが、チューニングが激変的に改善されました。(詳細は「STAR'S大改造 レスペ製作過程」参照)
■トレモロ部分「アームベース」の詳細
【アームベース制作の概要】
純正の丸鋼のものを、角鋼を使って加工し交換。
13角鋼を機械加工の鉄工所に依頼しワンオフでの制作。費用は約1.5万円ほど。予算の都合でメッキ加工は断念。(トップ部も丸くなっていると気がついたのが完成後だったため、そこが今後の課題)
下部のスプリングシャフトは先端部のみ長さを合わせるためカット。スプリングはテンションを合わせる為に2巻き程カット。
半月板状のトレモロキャビティはプラ板で制作。純正の半月板はトレモロユニットの一部なので強度的に最小限のサイズにカットして5mmほど埋め込み固定。
トレモロ自体を埋め込んだ方がリアルだがシャフトを短めに新規制作しなければならないので、純正で対応出来るギリギリの埋め込み深さに設定。 アームは全てステンレスで自作。
2.「Burns」 modification by Nao
もはや趣味の域を超えていて、プロフェッショナルなnaoさんの作品です。
naoさんは、CADを駆使したオールドレディとの寸法・型の比較から、トレモロのバネ係数の試算・試作によるトレモロユニットの完全自作、ボディ、ネック、フレットボードの全塗装、をはじめとして、驚くべき緻密さで2年がかりで仕上げたそうです。
もしもnaoさんがレプリカ作りに専念されたら、どこよりも完成度が高いものができそうです。
以下がおおまかな改造ポイントですが、改造点よりも原型のままの部分を挙げたほうが早いような大改造です。
①トレモロユニットの交換&アームの自作
naoさんの自作ユニットで、基本的な構造はナイフエッジトレモロと同じです。
しかし最大のポイントはナイフエッジ部分をトップ材の下に貼るのではなく、L字型に工夫して組込みを容易にした点です。これで、コピーモデルのボディ構造にかかわらず、組込みが可能となっています。
またアームはスチール棒を手曲げで加工したそうです。
シンクロトレモロの跡地については、埋めて塗装をし、完璧に隠しています。
②ボディキャビティのやり直し&全塗装
オールドレディのPUレイアウトに合わせて、ボディを埋めてキャビティをあけなおしています。
それとともに、オールドレディの色で全塗装し、フレットボードもブラック処理されています。
③アームベース、ブリッジ、コントロールSWの自作
オリジナルと同じ形状のものを、樹脂で成型して自作されています。
形状はまるで本物。近くで見なければ樹脂とわかりません。強度は全く問題ないそうです。
ローラーブリッジのローラー部分は、弦のボールエンドを流用(なるほど!)しています。
④オリジナルブリッジの再現
形状、ピン、ローラー部と、オリジナルの形状と性能をほぼ再現されています。
⑤ピックガード、サラウンド、トレモロカバー、コントロールパネル、スライドSWなどの交換・追加
これらはもはや改造の標準作業となりましたね。
さらに、オールドレディはブリッジ下のピックガードだけ何故か別素材となっているようですが、ここも完璧に再現されています。
naoさんの作品に興味のある方は、naoさんのサイト「Burns大改造」をご覧下さい。
サイトの美しさと、工程の解説は一見の価値があります。 特にBurnsの改造を考えてらっしゃる方にとっては必見です。